ジンセノサイド組成物
特許番号:特許第5697121号
登録日:2015.2.20
出願人:金氏高麗人参株式会社
先日、青山あたりを歩いていたら、路線バスのラッピング広告で、「特許商品」という文字がデーンと書いてあるものを見かけました。走っているバスだったので、どうやら高麗人参に関するものらしい、くらいしか視認できなかったのですが、ちょっと気になったので、『特許商品 高麗人参』でググってみると、すぐに見つかりました。特許製品、ではなくて、特許商品という言い方は案外しないですよね。変な言葉ではないですが、計算ずくで広告にしてるとしたらスゴイ。
ホームページに、『神秘の健康力』含有主成分に関する特許を取得しました、とのプレスリリースがあり、なんとなく胡散臭いなあ、トンデモ案件かなあ、などと思いながら、ちょっと当該特許をみてみました。
結果、結構しっかりした内容で、一発特許でした。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジンセノサイドであるRb1とRg3(S)とRg2(S)との3成分を必須成分として含有する組成物であって、組成物の固形分基準で、
・前記のRb1の含有量が7.3mg/g以上であること、
・前記のRb1の含有量と前記のRg3(S)の含有量との比「Rb1/Rg3(S)」が1.2~3.7の範囲内にあること、および、
・前記のRg3(S)の含有量と前記のRg2(S)の含有量との比「Rg3(S)/Rg2(S)」が1.7~4.4の範囲内にあること、
を特徴とするジンセノサイド組成物。
【請求項2】
不定愁訴改善用または滋養強壮用の経口組成物である請求項1記載のジンセノサイド組成物。
請求項は2つです。
上記特許権者のプレスリリースにもあるとおり、これは高麗人参の成分「ジンセノサイド(人参サポニン)」の組成比率に関するものですね。ホームページにどういった特許なのかをしっかり掲載していて、特許番号までしっかり公開しているのはとても好印象ですね。最初は怪しげと思いましたが、個人的好感度がアップしました。
出願経過をみてみますと、まずPCT出願した後に国内移行した出願でした。国際段階でもオールA(つまり新規性進歩性あり)、国内段階でも拒絶されることなく一発特許でして、特許としては完全なものといえる状態ですね。
審査官は特許査定をするにあたり「特許メモ」を残していまして、こちらをみてみますと、以下のメモが確認できました。
<<特許メモ>>
参考文献に記載されているように、本願の請求項1に記載されたジンセノサイドRb1、Rg3、Rg2は、いずれも高麗人参に含まれている成分であり、これらの成分を含有する組成物が種々の疾病の治療に用いられることも既に知られている。
また、ジンセノサイドは、ステロイド骨格の20位に不斉炭素原子を有しており、R体とS体が存在し得ることも明らかである。
しかしながら、参考文献のいずれにも、本願請求項1に記載の以下の条件
・Rb1の含有量が7.3mg/g以上であること、
・Rb1の含有量とRg3(S)の含有量との比「Rb1/Rg3(S)」が1.2~3.7の範囲内にあること、および、
・Rg3(S)の含有量とRg2(S)の含有量との比「Rg3(S)/Rg2(S)」が1.7~4.4の範囲内にあること、
を満たす、ジンセノサイドであるRb1とRg3(S)とRg2(S)との3成分を必須成分として含有する組成物は記載されておらず、そのような特定の含有量及び組成比とすることが当業者にとって自明であったとはいえない。
特定の組成について有利な効果があることが特許権として認められた、ということですね。すばらしいじゃないですか。なお、明細書には組成を変えるなどした、ちゃんとした効能確認実験の結果も記載されています。
しかし、最初の「うさんくさい」っていう印象はどこから来るのかなあ、と思い返してみると、やっぱりバスの広告の色合いだったり、ホームページのデザインだったり、『神秘の健康力』なんていうキーワードだったり、そういったところですかね。広告をもっと見直すほうが良いのではないかと、、、(余計なお世話ですね、すみません)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/PU/JPB_5697121/CFE563D3F6CE614270DE209A058E0E63